僅かな距離

それでも陽依は学校へ来た。

休めば負けた気がしたし、
休んだところで何かが変わるとも思えなかった。

教室のドアを開ける。

みんなが話している。

笑っている。

なのに、自分が入った瞬間だけ、
空気が少し変わる気がした。

気のせいかもしれない。

でも、その「気のせい」が、
一番苦しかった。

席に座る。

机の中に入れていたはずのノートがない。

探しても見つからない。

誰かに聞く勇気もない。

どうせ知らないと言われる。

どうせ笑われる。

陽依は何も言わなかった。

ただ、静かに前を向いた。