僅かな距離

まるで。

名前を呼ばれることすら怖いみたいな反応だった。

「……はい。」

返ってきた声も小さい。

かすれていて。

無理やり出したような声だった。

月城は何も言わない。

言えない。

今ここで特別扱いするわけにはいかない。

周りの目もある。

教師として守らなければならない線もある。

だから、いつも通りを装うしかなかった。
けれど。

心の中では確信に近いものが生まれていた。

月島は今、確実に何かに追い詰められている。
そして、その何かは。
月城が思っているよりずっと深い場所にある気がしてならなかった。