僅かな距離

陽依はずっと俯いていた。

友達と話している様子もない。

机の上を見つめたまま。

まるで周囲の音を遮断しているみたいだった。
その姿を見た瞬間。

胸の奥がざわつく。
何かがおかしい。

月城は出席簿を開く。

いつも通り名前を呼び始める。

そして。

「月島」

名前を呼んだ瞬間だった。

陽依の肩がびくっと震えた。

ほんの僅かだった。

周りの生徒は気づかない程度の変化。
けれど。
月城は見逃さなかった。