僅かな距離

あの日。

屋上へ続く階段で泣いていた月島の顔が忘れられなかった。

必死に涙を隠そうとしていた顔。

「私に関わんないで」と言った時の震えた声。

そして。

最後にこぼした。

『苦しい』

という言葉。

あれが本音だったはずだ。

あの瞬間だけは。

間違いなく。

なのに。

結局何も聞けなかった。

聞き出せなかった。

助けられなかった。