僅かな距離

月城は小さく息を吐いた。

ペンを置き、椅子の背もたれへ体を預ける。

天井を見上げると、疲労がじわりと押し寄せてきた。

だが、その疲労の正体は仕事ではない。

「あいつ、何抱えてるんだよ……」

誰にも聞こえない声で呟く。

もちろん返事はない。

教師は万能ではない。

生徒の心を読めるわけでもない。

本人が何も言わなければ分からないことだってある。

それは理解している。

理解しているはずなのに。