僅かな距離

黒板

先生が来る直前、消される文字。
誰も見ていないから証拠もない。

「何かあった?」

そう聞かれても、言えることは一つだけ。

「大丈夫です」

だって、言葉にした瞬間、
“面倒な生徒”になるのは私だから。

先生に見える私は、静かで、真面目で、
問題のない生徒。
だから、信じてもらえない。

教室では、今日も何も起きていない。

ただ、私だけが、
毎日少しずつ削られているだけ。

先生にバレないように。

――完璧に。