僅かな距離

「どうせ先生も困るだろうね。」

「生徒から好かれてるとか噂になったらさ。」

「かわいそう。」

かわいそう。
またその言葉。

陽依の目に涙が滲む?
違う。
先生は悪くない。
全部自分が悪い。
自分が頼りたいなんて思ったから。
期待したから。

「……分かりました。」
小さな声だった。

女子たちは満足そうに笑う。
「じゃあ約束ね。」

「二度と近づかないで。」

陽依は俯いたまま頷く。
その瞬間だった。
自分の中で何かが切れる音がした。

悲しいとか。
悔しいとか。
そんな感情ではない。

諦めだった。

誰かに助けてもらえるかもしれない。
そう思ってしまった自分への諦め。
空き教室を出た頃には、空はもう暗くなっていた。