僅かな距離

陽依は空き教室のドアを開けた。

中には三人の女子がいた。
まるで待っていたかのように。

「ちゃんと来たんだ。」

「偉いじゃん。」

「逃げると思ってた。」

笑い声が響く。
陽依は何も言わない。
言葉が出なかった。

「でさ。」

一人がスマホを取り出す。

「これどう思う?」

画面には写真。
月城と話している陽依。
屋上階段。
廊下。
何枚もあった。

いつ撮られたのか分からない写真で知らないうちに増えていた。

「気持ち悪いよね。」

誰かが言う。

「先生追いかけ回してるみたい。」

違う。
そう言いたかった。
でも声にならない。

「先生優しいから相手してくれてるだけなのに。」

「勘違いしてるよね。」

「ほんと迷惑。」

迷惑。
その言葉が何度も刺さる。

陽依は唇を噛んだ。血の味がする。

すると一人が立ち上がった。
机の上にスマホを置く。

「選んで。」

「え?」

「先生と話さないって約束するか。」

「この写真を先生に送るか。」

陽依の呼吸が止まる。