僅かな距離

ドアの前に立つ。

逃げたい。
帰りたい。
誰か助けて。

そんな言葉が頭をよぎる。

けれど。
助けを求める相手なんて思い浮かばなかった。

正確には。
一人だけ思い浮かんでしまった。

『俺のこと頼ってよ。』

月城の声。
優しい声。
真っ直ぐな目。

陽依は首を振った。

だめだ。
もう関わらないって決めた。

迷惑をかけないって決めた。
だから。