僅かな距離

その日の放課後。

陽依は図書室にいた。

誰もいない場所を探した結果だった。

教室は嫌だった。

廊下も嫌だった。

家に帰るのも少し怖かった。

だから本棚の間に隠れるように座っていた。

開いた本の文字は全く頭に入ってこない。

ただ時間だけが過ぎていく。



ふと窓の外を見る。

校庭では運動部が練習していた。

笑い声が聞こえる。

楽しそうだった。

眩しかった。

昔の自分もあんなふうに笑っていた気がする。

いつからだろう。

笑う時に周りを気にするようになったのは。