僅かな距離


それから数日が過ぎた。

陽依は本当に月城を避けるようになった。

朝のホームルーム。

出席を取る声。

廊下ですれ違う時。

授業中に教室を見回す視線。

以前なら無意識に探してしまっていたその姿を、今は見ないようにしていた。

見てしまうと苦しくなるから。

期待してしまうから。

「月島」

廊下で名前を呼ばれたこともあった。

けれど陽依は聞こえないふりをした。

聞こえていた。

ちゃんと聞こえていた。

それでも立ち止まらなかった。

足早にその場を離れる。

後ろから追いかけてくる足音はなかった。

それが少しだけ寂しかった。