僅かな距離

一時間目が終わった休み時間だった。

教科書を机にしまいながら、次の授業の準備をしていると、不意に机の横へ人影が落ちた。

「ねえ、陽依。」

聞き覚えのない女子の声だった。

顔を上げると、そこには三人の女子生徒が立っていた。

全員、自分とは違うクラスの生徒だった。

しかし、陽依はその顔を知っていた。

月城先生のことが好きだと公言している生徒たち。

女子の間では有名な存在だった。

「ちょっと来て。」

柔らかい口調だった。

けれど、その言葉の奥にある圧力は十分すぎるほど伝わってくる。
陽依は戸惑いながらも小さく首を傾げた。

「え……?」

すると、一人の女子が陽依の腕を軽く掴んだ。

逃がさないと言うように。

「いいから。」

その一言に、反論する隙はなかった。