僅かな距離

教室に入ると、いつも通りの朝の光景が広がっていた。

友達同士で楽しそうに話す声。

机を囲んで笑い合う生徒たち。

誰かの笑い声が教室中に響く。

その中にいるはずなのに、陽依だけが別の世界にいるような気がした。

自分だけが透明人間になってしまったような感覚。

誰にも見えていないのに、誰よりも見られている気がする。

そんな居心地の悪さが胸を締め付ける。

陽依は誰とも目を合わせないように、自分の席へ向かった。