僅かな距離

陽依は、いつもより少しだけ重い足取りで学校へ向かっていた。

昨夜はほとんど眠れなかった。

布団に入って目を閉じても、屋上階段での出来事ばかりが頭の中を巡っていたからだ。

月城先生の言葉。

「俺のこと頼ってよ」

あの声が何度も蘇るたびに、胸の奥が苦しくなった。

正直、今日は休んでしまいたかった。

学校になんて行きたくなかった。

教室のドアを開けることも、人の視線を感じることも、全部が怖かった。

それでも陽依は制服に袖を通した。

休んだところで何も解決しないことを知っていたからだ。

むしろ一日休めば、次の日はもっと学校へ行きづらくなる。

だから陽依は今日も学校へ向かった。

まるで何事もないふりをしながら。