僅かな距離

「それに」

月城は言う。

「助けてって言うのは弱いことじゃない」

陽依は首を振る。
ずっと一人で耐えてきた。

誰にも言わなかった。
言えなかった。
今さら助けてなんて。
そんな資格ない。

そう思っていた。

すると月城が静かに言った。

「じゃあさ」
「……」
「今日は何も話さなくていい」

陽依が顔を上げる。

「でも逃げるな」
「……」
「俺も逃げないから」

その言葉は、
不思議なくらい真っ直ぐ胸に届いた。

今まで誰にも言えなかった。

信じられなかった。

でも。

少しだけ。

本当に少しだけ。

この人なら。
そう思ってしまった。