僅かな距離

「……月城先生。」

誰かが小さく呟く。

陽依の心臓が止まりそうになる。

聞き間違いだと思いたかった。

でも違った。

その声は確かに月城だった。

月城翔平は階段を上がりきった場所で立ち止まる。

視線がゆっくり周囲を見渡す。

床に散らばった写真。
青ざめた女子たち。

そして。
泣いている陽依。

その光景を見た瞬間、月城の表情から色が消えた。

怒鳴るわけでもない。

大きな声を出すわけでもない。

けれど、
その静かな表情が逆に怖かった。