僅かな距離

「今から少しいいか。」

月城の言葉が耳の奥に残る。

陽依は立ち尽くしたまま動けなかった。

教室の中ではクラスメイトたちが昼食の準備を始めている。

笑い声も聞こえる。

椅子を引く音も聞こえる。

いつもと変わらない昼休みの風景。
なのに、
陽依だけが時間から取り残されたみたいだった。

スマホがポケットの中で重い。

さっき届いたメッセージが頭から離れない。

『早く来て。』

行かなければ。

そう思う。
でも、月城の前から離れたくないとも思った。
そんな自分に戸惑う。