僅かな距離

「今から少しいいか。」

その一言に。

陽依の胸の奥で何かが大きく揺れた。

助けてほしい。

言ってしまえ。

全部話してしまえ。

そう叫ぶ自分がいる。

けれど同時に。

話したら迷惑がかかる。
巻き込んでしまう。

そんな恐怖もあった。

月城はまだ知らない。

今の陽依が。

たった一歩踏み出せるかどうかの場所に立っていることを。

そして陽依もまだ知らない。
この昼休みが、
今までの関係を大きく変えることになるかもしれないことを。