僅かな距離

教室へ入る。

朝の賑やかな声が聞こえる。

陽依は誰とも目を合わせず、自分の席へ向かった。

机に鞄を置く。
椅子に座る。
それだけなのに疲れた。

まだ一時間も経っていないのに。

もう帰りたいと思ってしまう。

ホームルームが始まる。

月城が教室へ入ってくる。

その姿を見た瞬間。

胸の奥が少しだけ揺れた。

安心したのか。
苦しくなったのか。
自分でも分からない。

ただ視線を向ける勇気はなかった。
だから俯いたまま名前を呼ばれるのを待つ。