僅かな距離

翌朝。

陽依は目覚ましが鳴る前に目を覚ました。

正確には、ほとんど眠れていなかった。

夜中に何度も目が覚めた。

眠ったと思ってもすぐに現実へ引き戻される。

その繰り返しだった。

枕元に置いたスマホを見る。

時刻は午前五時四十七分。

まだ家の中は静かだった。

カーテンの隙間から差し込む朝の光だけが部屋を薄く照らしている。

陽依は天井を見つめた。

学校へ行きたくなかった。

今日は本当に行きたくなかった。

体調が悪いわけではない。
熱もない。
咳も出ない。
それなのに起き上がれない。

心だけが重かった。
布団が体に絡みついているみたいだった。