僅かな距離

時計を見る。

午後十一時四十分。

明日も学校だ。

眠らなければいけない。

そう思うのに。

布団へ入る勇気が出ない。

眠ろうとすると考えてしまうから。

考えると苦しくなるから。

だから陽依は部屋の隅で膝を抱えたまま動けなかった。

静かな夜だった。

家族はもう寝ている。

テレビの音もない。

話し声もない。

世界に自分一人だけ取り残されたみたいだった。

その静けさが余計に寂しかった。