僅かな距離

陽依は空を見上げる。

夕焼けはもう消えかけていた。

薄い群青色の空が広がっている。

綺麗だった。

なのに。

どうしてだろう。

今の陽依には少しも綺麗に見えなかった。

胸の奥が重い。

苦しい。
寂しい。
怖い。

そんな感情ばかりが積み重なっていく。


その夜。

陽依のスマホに、一通の非通知メッセージが届く。

送信者は表示されていない。

短い文章だけ。

『先生に全部話したらどうなると思う?』

その文字を見た瞬間。

陽依の顔から血の気が引いた。

そして初めて、
どうしようもない恐怖が、胸の奥ではなく全身を支配し始めた。