僅かな距離

『先生と話してたよね?』

陽依の呼吸が止まる。

続けてもう一件。

『約束守れないんだ。』

そして。

『やっぱり先生好きなんじゃん。』

陽依の手から力が抜けそうになる。

違う。

そうじゃない。
そう言いたいのに、誰にも伝わらない。

気づけば陽依は校門の前に立っていた。

空はもう薄暗い。

生徒たちの姿もほとんどない。

一人で帰る帰り道。

いつもよりずっと長く感じた。

家に帰れば少しは楽になるだろうか。

そう思った。

けれど。

答えは分かっていた。

家に帰っても考える。

夜になっても考える。
眠れなくなって。

また朝が来る。
その繰り返しだ。