僅かな距離

陽依はゆっくりと階段を下り始める。

足取りは重い。

月城と話したからといって何かが変わったわけではない。

むしろ苦しくなった気さえした。

優しい言葉をかけられるたびに。

自分がどれだけ助けを求めているのか気づいてしまうから。

だから辛かった。

昇降口へ向かう途中。
ポケットの中でスマホが震える。

陽依の体が強張る。

恐る恐る画面を見る。

案の定だった。

さっきの女子からのメッセージ。

陽依は唇を噛み締める。

開きたくない。

でも開かなければもっと怖い。

震える指で画面を開く。

そこには短い文章だけが表示されていた。