僅かな距離

机に落書きが増えた。

体育の班決めでは、誰も目を合わせなかった。
教科書を開けば、
ページの間にぐしゃぐしゃになった紙が挟まっている。

『来なくていいのに』

たったそれだけ。でも十分だった。

陽依は紙を小さく折りたたみ、ポケットに押し込んだ。

誰にも見られないように。

昼休み。

教室にいるのが苦しくて、人気のない階段へ向かった。

その途中。

「月島」

名前を呼ばれた。

振り返ると、月城先生が立っていた。

「最近、ちゃんと寝れてるか?」

陽依は反射的に笑った。

「寝れてます」
「そうか」
「はい」

会話はそれで終わった。