僅かな距離

「……助けて。」

小さく零れたその言葉は、陽依自身にも聞こえないほど弱々しいものだった。

誰にも届かない。

届くはずがない。

そう思っていた。

だから口にできたのかもしれない。

ずっと飲み込んできた言葉だった。

苦しい時も。

怖い時も。

泣きたい時も。

陽依はいつも一人で抱え込んできた。

誰かに助けてと言うことが怖かった。

迷惑をかけることが怖かった。

断られることが怖かった。

だから、
最初から頼らない方が楽だった。

傷つかなくて済むから。
期待しなくて済むから。
そうやって生きてきた。