僅かな距離

月城は黙った。

その沈黙が怖い。

何か言われる気がして。

何か見抜かれる気がして。

怖かった。

「泣いたか。」

静かな声だった。

責めるわけでもなく。

問い詰めるわけでもなく。

ただ確認するような声。

だから余計に苦しい。

陽依はまた首を振る。

「泣いてません。」

「そうか。」

短い返事。
それだけだった。
なのに、月城はその場を離れなかった。

陽依も動けなかった。
沈黙が続く。

階段の窓から差し込む夕陽だけが二人を照らしている。

逃げたい。

でも足が動かない。
そんな時間だった。