僅かな距離

そこにいたのは月城だった。

胸が大きく跳ねる。
最悪だと思った。

よりによって今。
どうして今なのか。

月城は一瞬だけ目を見開く。

どうやらこんな場所で会うとは思っていなかったらしい。

「月島。」

名前を呼ばれる。
その優しい声を聞いた瞬間。

今まで必死に抑えていた感情がまた溢れそうになる。

陽依は顔を上げられなかった。

見られたくなかった。

こんな顔。

こんな情けない姿。

絶対に見られたくなかった。

「どうした。」

月城の声が近づく。

陽依は首を横に振った。

「何でもないです。」

声が震える。

自分でも分かる。

全然誤魔化せていない。
それでも、そう言うしかなかった。