僅かな距離

昨日の昼休みを思い出した。

教室の前で女子たちと話していた月城。

楽しそうに笑っていた姿。

見たくないと思ったのに。

気になって仕方なかった。

目で追ってしまった。

そんな自分が嫌だった。

「気にならない。」

陽依は答える。

嘘だった。

自分でも分かるくらいの嘘だった。

女子たちはまた顔を見合わせる。

そして。

「ふーん。」

とだけ言った。

その反応が逆に怖かった。
何を考えているのか分からない。

何をするつもりなのか分からない。

だから余計に怖い。

沈黙が落ちる。
陽依は早く帰りたかった。

ここから逃げ出したかった。
けれど、その願いは叶わなかった。
女子の一人がスマホを取り出したからだ。