僅かな距離

すると、女子の一人が突然言った。

「でもさ。」

その声色が変わる。
陽依は嫌な予感を覚えた。

「先生の方はどうなんだろうね。」

陽依の心臓が大きく鳴る。

「え……?」

思わず顔を上げる。

女子は意地悪そうに笑っていた。

「だって最近さ。」

スマホを操作する。

「先生、あんたのこと見てるよね。」

その瞬間。
陽依の呼吸が止まった。

「別に。」

すぐに否定する。
けれど、女子は笑うだけだった。

「気づいてないと思った?」

「教室でも見てたよ。」
「廊下でも。」
「職員室でも。」

その言葉の一つひとつが胸に刺さる。