僅かな距離

足取りは重い。

胸の鼓動だけが大きくなる。

逃げたい。

今ならまだ引き返せる。

そんな考えが何度も浮かぶ。

けれど。

足は止まらなかった。

止められなかった。

踊り場が見えてくる。

そこには既に三人の女子がいた。

まるで当然のように。

陽依が来ることを分かっていたみたいに。

「ちゃんと来たんだ。」

一人が笑う。

その笑顔に温かさはなかった。

「逃げるかと思った。」

別の女子も言う。

陽依は何も答えない。

答える気力もなかった。
ただ俯いて立っている。