僅かな距離

足が重かった。

心が重かった。

自分だけが別の場所へ向かうみたいだった。

やがて教室の中から人が減っていく。

気づけばほとんど誰もいなくなっていた。

陽依は小さく息を吐く。

そして鞄を持った。

行かなきゃ。

そう思う。

行きたくないのに。

そう思う。
その二つの気持ちが胸の中でぶつかり合っていた。

窓の外では運動部の声が聞こえていた。
遠くから吹奏楽部の音も聞こえる。

学校はいつも通りだった。

自分以外は。

そんな気がした。

屋上へ続く階段は校舎の奥にある。

人通りは少ない。

放課後になればなおさらだった。

陽依はゆっくり階段を上る。