僅かな距離

放課後が近づいていることだけは嫌になるほど分かっていた。

授業が終わるたびに心臓が重くなる。

時計を見るたびに息が苦しくなる。

逃げたい。
行きたくない。

そんな気持ちばかりが大きくなっていった。

けれど。
逃げたところで終わらないことも分かっていた。

だから陽依は何もできなかった。

ただ時間が過ぎるのを待つことしか。

やがて帰りのホームルームが始まる。

月城の声が教室に響く。

いつもと同じ連絡事項。

いつもと同じ終わりの挨拶。

クラスメイトたちは帰る準備を始める。

笑いながら教室を出ていく生徒もいる。

部活へ向かう生徒もいる。

友達と約束をしている生徒もいる。

そんな姿を見ながら、陽依は席から立てずにいた。