仲間と私で未来を紡ぐ

数日後、ちゃんはちはようやく目を覚ました。
ちゃんはちは自身が長く眠りについていた事を知ると、花韮や誰かから何か言われるんじゃないかと思ったが、それに関しては特に何言われなかった。
皆が口にした事は、しずくの対処について。
この数十日を経ても、しずくの記憶は完全に戻り切らなかった。
感情の世界や他の感情たちのことについては思い出したタイミングで皆に謝罪をしたが、それ以外__どうして森を彷徨っていたのかなどのことはまだ思い出していなかった。

「こんなにも記憶が戻らないとは思わなかったわね。で、どうするの?」
「どうするもなにも、私が言ったのは完全に記憶が戻ったらっていうことだよ。だからまだ何もしなくて良いかなーって」
「あんたねぇ…。」
「まぁいいんじゃないか?記憶が戻ったら対処すると本人が言っているのだし。」

やみの発言にくいはそう言い返す。
やみは何か言いたげな表情をしたが、すぐに真顔になる。

「…ならいいわ。それより問題はこっちよ。」

やみはそう言いながら資料の束をちゃんはちに渡す。
ちゃんはちは驚いた顔でそれを受け取ると、内容を見つめ始める。

「…黒いローブ。あぁ、例のちょろちょろマン?」
「多分そうよ。書いてある通り早急に対処すべき事案にも関わらず相手は神出鬼没。どこからどうやって攻めればいいのかわからないわ。」
「うーん…ひかりちゃんの足の速さでも場所によっては届かなそうだねぇ」
「遠征依頼が届いてからちゃんはちが全力で向かっても間に合わないな。というか被害が起こってから遠征依頼が届くまでにはタイムラグがあるからな。そもそも被害を起こさないようにしなければならない。」

ちゃんはちは顎に手を添えて考える素振りをする。
そして、何かを閃いたように目を見開きこう言った。

「…じゃあ、人里育成計画を進めようか」
「敵がわざわざ私達の近くに来るとでも?」

やみはジト目でちゃんはちを見つめる。

「甘いな。そこからどのような人里を狙うのかを明確にするんだ。」
「それなら襲われた人里と襲われていない人里の…」
「やみちゃん、このデータちゃんと見た?」

ちゃんはちは、これまで襲われた人里の位置や襲われた回数が乗っている資料を見せる。

「複数回襲われた場所はない。つまり、敵はまだ襲っていない人里を狙う可能性が高いんだよ。もし仮に次とかその次とかにすでに襲った人里に顔を出したら、狙われた人里に目的があるのかもしれないってわかるじゃん」
「…なるほどね。」
「もしかしたら人里観光のついでになにかしでかしてるのかマーキングしてるのかもしれないけどね!」
「そうなのだとしたら私は殴るぞ。」
「まぁそう都合よくなるわけないけれど、人里は素早く作ろう!」

ちゃんはちは右手を掲げる。
そして、声高らかにこう叫ぶ。

「そして、限定クッキーを出しているお店を呼び込むんだ!!」
「…人里を作る理由の五割はそれでしょうね。」
「いや、八割だな。」

ニコニコ顔のちゃんはちの横で、二人は呆れたようにそう呟くのだった。