時計の針は、数字の羅列をなぞっていく。
その針が六周回っても、いかりとくいが帰ってくることはなかった。
異変の主犯を見つけるために固有能力である【位置把握】を発動させていたちゃんはちは、遠征でもないのに帰ってくるのが遅い二人のことが心配になりつつある。
遠征とは、今住んでいる場所から目的地遠かったり、内容的に一日で異変解決を済ませられそうにないときに使われる言葉。
いかりとくいが向かったのは、遠征ではない普通の異変解決だ。
(二人の実力的にここまで帰ってこないのはおかしい。やっぱりなにか事件に巻き込まれたか)
ちゃんはちはそこまで思考を巡らせてしまう。
数分後、【位置把握】の探知範囲の限界を迎える。
ここまで来ても探知範囲に含まれているのは花幻山の山麓だった。
しかし、花幻山の山麓を沿うように探知範囲を増やすと、徐々に探知できる魔力量が増えていく。
花幻山付近だけ降水量が多いことから異変の元凶はその付近にいるだろうと考えたのだが、どうやら予想が的中したようだ。
(やっぱり探知範囲内じゃないよねー。花幻山にいるなら山頂にいるよねー)
ちゃんはちは心でそう呟くと、ある考えを示した。
(展開形態変えるかぁ)
軽い気持ちでそう呟いたと思うと、【位置把握】の展開形態をいじる。
現在の展開形態は、ちゃんはちを中心として円状に広がる円型。
目的地である花幻山の山頂に対して真逆の場所に展開されている箇所を押し込んで花幻山側に伸ばしていく。
ちなみに、ちゃんはちは簡単に展開形態を変えているが、実際はとても難しい。
固有能力は自覚してそれを極めていくもの。
つまり、展開形態を変えると言うことは、固有能力そのものの認識を改めなければならない。
それに付随して、改めた認識に適応するために更なる修行を積む必要がある。
日常と化した情報を一から改めて、さらにそれを新たな日常にするにはかなりの時間を要する。
例えるなら、今まで習ってきた知識への認識を改めようと考え、自分で知識の再解読をしなければならない。
知識の再解読は際限なく、根拠やそれに対する他者的意見も要する。
つまりとんでもなくめんどくさいし時間も労力もかかる。
固有能力に関してはそれが顕著であり、扱いが難しい割に修行して得られるものがとんでもなく少ない。
大抵は認識の改めを諦めるか、そもそも認識を改めることもしない。
そんな展開形態をいとも簡単に変えたちゃんはちはというと。
花幻山山頂から、強い魔力の反応を探知する。
「ちゃんはち。調べ終わったか?」
なぜかこの三日間ずっと部屋に入り浸っている花韮は、普通のことのように聞いてくる。
ちゃんはちは固有能力の発動をやめて振り返る。
「うん。なんとか花幻山の山頂から異様な魔力が検知できたよ」
「…消えた二人と関係しかなさそうだが、どうする?」
「行くよ。二人が当てられたのは土砂に巻き込まれた人を救えってのだからね。私が行っても横取りにならないし」
「それなら私も同行しよう。」
花韮は腰掛けていたベッドから降りて、座っているちゃんはちの肩を叩く。
「はぁ?なんでよ」
「行く理由もないが行かない理由もない。」
「なら来ないでよ」
「少しいい間違えをした。行く理由は少しある。だからだ。」
はぁぁぁと、ちゃんはちは露骨にため息を吐く。
それでも花韮が引かないことはちゃんはち本人が一番わかっている。
「なら一緒に行くかぁ…」
ちゃんはちは観念したように呟く。
席を立つと、思い出したかのように花韮に問う。
「でもその前にちょっといい?」
「構わん。好きにしろ。」
その言葉を聞く前に、ちゃんはちは部屋の扉を開けた。
その針が六周回っても、いかりとくいが帰ってくることはなかった。
異変の主犯を見つけるために固有能力である【位置把握】を発動させていたちゃんはちは、遠征でもないのに帰ってくるのが遅い二人のことが心配になりつつある。
遠征とは、今住んでいる場所から目的地遠かったり、内容的に一日で異変解決を済ませられそうにないときに使われる言葉。
いかりとくいが向かったのは、遠征ではない普通の異変解決だ。
(二人の実力的にここまで帰ってこないのはおかしい。やっぱりなにか事件に巻き込まれたか)
ちゃんはちはそこまで思考を巡らせてしまう。
数分後、【位置把握】の探知範囲の限界を迎える。
ここまで来ても探知範囲に含まれているのは花幻山の山麓だった。
しかし、花幻山の山麓を沿うように探知範囲を増やすと、徐々に探知できる魔力量が増えていく。
花幻山付近だけ降水量が多いことから異変の元凶はその付近にいるだろうと考えたのだが、どうやら予想が的中したようだ。
(やっぱり探知範囲内じゃないよねー。花幻山にいるなら山頂にいるよねー)
ちゃんはちは心でそう呟くと、ある考えを示した。
(展開形態変えるかぁ)
軽い気持ちでそう呟いたと思うと、【位置把握】の展開形態をいじる。
現在の展開形態は、ちゃんはちを中心として円状に広がる円型。
目的地である花幻山の山頂に対して真逆の場所に展開されている箇所を押し込んで花幻山側に伸ばしていく。
ちなみに、ちゃんはちは簡単に展開形態を変えているが、実際はとても難しい。
固有能力は自覚してそれを極めていくもの。
つまり、展開形態を変えると言うことは、固有能力そのものの認識を改めなければならない。
それに付随して、改めた認識に適応するために更なる修行を積む必要がある。
日常と化した情報を一から改めて、さらにそれを新たな日常にするにはかなりの時間を要する。
例えるなら、今まで習ってきた知識への認識を改めようと考え、自分で知識の再解読をしなければならない。
知識の再解読は際限なく、根拠やそれに対する他者的意見も要する。
つまりとんでもなくめんどくさいし時間も労力もかかる。
固有能力に関してはそれが顕著であり、扱いが難しい割に修行して得られるものがとんでもなく少ない。
大抵は認識の改めを諦めるか、そもそも認識を改めることもしない。
そんな展開形態をいとも簡単に変えたちゃんはちはというと。
花幻山山頂から、強い魔力の反応を探知する。
「ちゃんはち。調べ終わったか?」
なぜかこの三日間ずっと部屋に入り浸っている花韮は、普通のことのように聞いてくる。
ちゃんはちは固有能力の発動をやめて振り返る。
「うん。なんとか花幻山の山頂から異様な魔力が検知できたよ」
「…消えた二人と関係しかなさそうだが、どうする?」
「行くよ。二人が当てられたのは土砂に巻き込まれた人を救えってのだからね。私が行っても横取りにならないし」
「それなら私も同行しよう。」
花韮は腰掛けていたベッドから降りて、座っているちゃんはちの肩を叩く。
「はぁ?なんでよ」
「行く理由もないが行かない理由もない。」
「なら来ないでよ」
「少しいい間違えをした。行く理由は少しある。だからだ。」
はぁぁぁと、ちゃんはちは露骨にため息を吐く。
それでも花韮が引かないことはちゃんはち本人が一番わかっている。
「なら一緒に行くかぁ…」
ちゃんはちは観念したように呟く。
席を立つと、思い出したかのように花韮に問う。
「でもその前にちょっといい?」
「構わん。好きにしろ。」
その言葉を聞く前に、ちゃんはちは部屋の扉を開けた。
