またも数十日家を出ていた花韮は、薄い紫色のパワーボールに乗り込んで帰路についている。
足元には桜が咲き乱れており、今が春だと錯覚してしまいそうになる。
清らかな風が吹くと、美しい音色を奏でながら桃色の花がゆらゆらと揺れた。
しかし、花韮の顔色は足元に繰り広げられている明媚な景色にふさわしくない暗い表情をしている。
(四季郷にも手を入れ始めたが情報がない…。すれ違い?いやそんな形跡はなかった。まだ調べ足りないのかもしれないが…)
「…くそっ。」
花韮は吐き出すようにそう呟く。
四季郷。それは、四季が共存する郷のこと。
一年を通して四季が移り変わることなく、美しい景色は、過去から未来へと景観を通して語り継がれている。
そんな四季郷は、花幻郷から見て左手側に位置しており、中枢郷に近い西側には春が、一番外に近い東側には夏が、花幻郷に近い北側には秋が、冷寒郷に近い南側には冬が位置している。
花韮は、春地方から花幻郷を目指して北上している最中なのだ。
北上していくと、足元に桜の木が無くなっていく。
花幻郷に入った瞬間、ムワッとした熱気と弱い雨が花韮を包み込む。
さらに北上すると、雨足は強くなり、もはや痛いという感覚までしてくる。
それを耐え抜きながら突き進むと、ちゃんはち達の家が見えてきた。
花韮はそれを視認すると、家へと高度を下げていくのだった。
リビングに行くと、夏でもないのに蝉の鳴き声がする。それに壁にはくいが描いたであろう、夏を彷彿とさせる海の絵や入道雲の絵画がいくつもあった。
花韮は、リビングにいるちゃんはち達を見て何をやっているんだという目を向ける。
その目線に気づいたのかたまたまなのか、床に座って絵を描いているくいの手伝いをしているひかりが花韮の方へ目線を向ける。
「…あっ!花韮さん!!」
「え?うぉガチじゃん!どこ行ってたの心配したんだよ!」
「…それはすまないが、今の私はお前達を心配している。」
「はぁ?どこにだよ」
「まだ夏ではないのにセミの鳴き声がするのがおかしい。まだ夏ではないのに海の絵を描いてるのもおかしい。まだ夏では__」
ちゃんはちはこのリビング全てを否定するような発言をする花韮を手で制し、その手をヒラヒラさせて物申す。
「全く。花韮は分かってないですねぇ。言ってやれくいちゃん」
「今は七月。立派な夏だ。」
「中枢郷の気象情報では、花幻郷周辺はまだまだ梅雨が続くということらしいが、そのことについてはどう考えているんだ?」
「いやぁそれは中枢郷のついた真っ赤な__」
「お前らの認識が間違っている。現実を見ろ。」
花韮はそう言いながら、渡り廊下の方に目線をやる。
そこから見える外には、しっかりと雨が降っていた。
じめっとした空気にイラつきながら、花韮は本件を話す。
「花幻郷の表の世界に雨が降り続いている。それだけならまだいいが、花幻郷の景観にまで支障が出ている。私はこれを重大な異変と考えた。故に、私から直々にお前らへ調査依頼を出させてもらう。」
「は、はぁ!?いきなり!?」
ちゃんはちはセミの鳴き声を放っているスピーカーを止めて立ち上がる。
花韮からの調査依頼。それは、煙花散花の中で最も優先するべき頼み事。
近い存在だからか忘れがちだが、花韮は煙花散花最強。この世界で最も位が高く最も偉い存在なのだ。
花韮は腕を組み細目になりながら呟く。
「なんだ。お前なら瞬時に解決できると思ったのだがな。」
「こんなときだけ権限使いやがって…。まぁ一応案は思いついてるけど私の魔力が持つかどうか…」
「?お前、何をしようとしてんだ?」
海の絵を飾り終えたいかりは、ソファに立ったままちゃんはちに問う。
「いやぁ異変なら私の固有能力で敵の位置を特定しようかとおも__」
「あ、すまん。異変解決しろって情報が来たから言ってくるわ。話あとで聞くから覚えとけよー」
「…いかりと共同か。よろしく頼む。」
「おうよ」
ちゃんはちが返そうとしたタイミングで、いかりとくいの情報共有機器に異変解決の依頼が届く。
そもそも異変とは、地域で起きた厄介ごとのこと。異変が起きたら煙花散花最強に連絡が行くようになっているが、花韮はその仕事を中枢郷へ託している。だから今の連絡は、中枢郷最強やそこら辺の人から届いたもの。
依頼が来たら即座に出向くのが郷最強という名を持つ者内での暗黙の了解。
ちゃんはちは遮られたことに怒ることなく、行ってらっしゃいと見送った。
足元には桜が咲き乱れており、今が春だと錯覚してしまいそうになる。
清らかな風が吹くと、美しい音色を奏でながら桃色の花がゆらゆらと揺れた。
しかし、花韮の顔色は足元に繰り広げられている明媚な景色にふさわしくない暗い表情をしている。
(四季郷にも手を入れ始めたが情報がない…。すれ違い?いやそんな形跡はなかった。まだ調べ足りないのかもしれないが…)
「…くそっ。」
花韮は吐き出すようにそう呟く。
四季郷。それは、四季が共存する郷のこと。
一年を通して四季が移り変わることなく、美しい景色は、過去から未来へと景観を通して語り継がれている。
そんな四季郷は、花幻郷から見て左手側に位置しており、中枢郷に近い西側には春が、一番外に近い東側には夏が、花幻郷に近い北側には秋が、冷寒郷に近い南側には冬が位置している。
花韮は、春地方から花幻郷を目指して北上している最中なのだ。
北上していくと、足元に桜の木が無くなっていく。
花幻郷に入った瞬間、ムワッとした熱気と弱い雨が花韮を包み込む。
さらに北上すると、雨足は強くなり、もはや痛いという感覚までしてくる。
それを耐え抜きながら突き進むと、ちゃんはち達の家が見えてきた。
花韮はそれを視認すると、家へと高度を下げていくのだった。
リビングに行くと、夏でもないのに蝉の鳴き声がする。それに壁にはくいが描いたであろう、夏を彷彿とさせる海の絵や入道雲の絵画がいくつもあった。
花韮は、リビングにいるちゃんはち達を見て何をやっているんだという目を向ける。
その目線に気づいたのかたまたまなのか、床に座って絵を描いているくいの手伝いをしているひかりが花韮の方へ目線を向ける。
「…あっ!花韮さん!!」
「え?うぉガチじゃん!どこ行ってたの心配したんだよ!」
「…それはすまないが、今の私はお前達を心配している。」
「はぁ?どこにだよ」
「まだ夏ではないのにセミの鳴き声がするのがおかしい。まだ夏ではないのに海の絵を描いてるのもおかしい。まだ夏では__」
ちゃんはちはこのリビング全てを否定するような発言をする花韮を手で制し、その手をヒラヒラさせて物申す。
「全く。花韮は分かってないですねぇ。言ってやれくいちゃん」
「今は七月。立派な夏だ。」
「中枢郷の気象情報では、花幻郷周辺はまだまだ梅雨が続くということらしいが、そのことについてはどう考えているんだ?」
「いやぁそれは中枢郷のついた真っ赤な__」
「お前らの認識が間違っている。現実を見ろ。」
花韮はそう言いながら、渡り廊下の方に目線をやる。
そこから見える外には、しっかりと雨が降っていた。
じめっとした空気にイラつきながら、花韮は本件を話す。
「花幻郷の表の世界に雨が降り続いている。それだけならまだいいが、花幻郷の景観にまで支障が出ている。私はこれを重大な異変と考えた。故に、私から直々にお前らへ調査依頼を出させてもらう。」
「は、はぁ!?いきなり!?」
ちゃんはちはセミの鳴き声を放っているスピーカーを止めて立ち上がる。
花韮からの調査依頼。それは、煙花散花の中で最も優先するべき頼み事。
近い存在だからか忘れがちだが、花韮は煙花散花最強。この世界で最も位が高く最も偉い存在なのだ。
花韮は腕を組み細目になりながら呟く。
「なんだ。お前なら瞬時に解決できると思ったのだがな。」
「こんなときだけ権限使いやがって…。まぁ一応案は思いついてるけど私の魔力が持つかどうか…」
「?お前、何をしようとしてんだ?」
海の絵を飾り終えたいかりは、ソファに立ったままちゃんはちに問う。
「いやぁ異変なら私の固有能力で敵の位置を特定しようかとおも__」
「あ、すまん。異変解決しろって情報が来たから言ってくるわ。話あとで聞くから覚えとけよー」
「…いかりと共同か。よろしく頼む。」
「おうよ」
ちゃんはちが返そうとしたタイミングで、いかりとくいの情報共有機器に異変解決の依頼が届く。
そもそも異変とは、地域で起きた厄介ごとのこと。異変が起きたら煙花散花最強に連絡が行くようになっているが、花韮はその仕事を中枢郷へ託している。だから今の連絡は、中枢郷最強やそこら辺の人から届いたもの。
依頼が来たら即座に出向くのが郷最強という名を持つ者内での暗黙の了解。
ちゃんはちは遮られたことに怒ることなく、行ってらっしゃいと見送った。
