「…で。話を戻すが、私は一万年この世界に存在し居場所を探し続けている。別にこの世界に存在し続けるのも選択の一つだけれどもな。」
話が一区切りついたタイミングを見て、花韮が話を戻しそう言う。
ちゃんはちは、花韮の横顔を眺める。
花韮は依然として前を向きどこかを見つめていた。
__花韮は、今……
「花韮って何歳なの?」
「お前は一度礼儀を改めるか。」
突然言われた言葉に、花韮は無表情のままちゃんはちに視線だけを向ける。
「いやだって一万年生きてんでしょ!?気になるわ!てか何で容姿が変わってないのさ!」
「十年前に話したばかりだぞ。忘れたのか?」
「いや覚えてるわけないでしょ」
ちゃんはちは目を細めて当然だと言うように呟く。
はぁ…と、花韮は大きなため息を吐きながら手を自身の顔に当てる。
列の後ろにいて会話を聞いていないやさややみでも、花韮がまたちゃんはちに呆れているとわかるくらいに。
「…お前は今日私に何度呆れられたらいいんだ。」
「いや!考えてよ!十年前だぞ十年前!!」
「人間には長期記憶能力があるから、強烈的な記憶なら覚えていてもおかしくないわね。まぁ、ちゃんはちが話した内容を覚えていないのなんて普通よ普通。」
「おい誰がポンコツだって?」
「誰も言ってねぇよ。てか自分で分かってんなら対策の一つや二つしろや!」
「いや最近忙しくてですね…。」
「最近異変解決も遠征もねぇだろうが!」
「落ち着け。こいつの記憶力に難ありなのは私がよく知っている。」
花韮の発言にちゃんはちはギャースカ騒ぐ。
そんな弟子を無視しながら、花韮は昔にちゃんはちへと言った発言を繰り返す。
「煙花散花には、二つの生物が存在する。一つは外から来た存在。もう一つはここで生まれた存在。外から来た存在は、元々生きていた世界で命を落としたものがこちらの世界に来た存在。ここで生まれた存在は、その名の通りこの世界で新しい命として生まれた存在だ。」
「外から来た存在はちゃんはちが該当するんだよな?じゃあ花韮はどうなんだよ」
「あぁ。私はもう一つの存在に該当するぞ。」
「へぇ〜」
「興味なさそうだな。」
「いや別にそうじゃねぇんだけど。てか花韮、両親とかどうしたんだ?ねぇちゃんとかいねぇのか?」
平凡な質問だ。
その平凡な質問への回答に、花韮は言葉が詰まる。
しかし、それでもう回答は終わったようなものだろう。
それでも花韮は質問に答える。
「父親は、私が幼い頃に原生生物に襲われて亡くなった。母親は、私がこの世界に生まれて百年もしないうちに居場所を見つけて旅立った。姉妹はいない。一人っ子だったよ。」
「…詳しい事情も知らずにすまん」
「気にするな。互いの事情なんて己にしかわからないものだからな。」
そんな言葉をかけても、いかりは俯いたまま小さく「うん」と言うだけだった。
その様子を見て、花韮は考える。
別に気にかける必要はない。もう一万年以上も前のことだ。そもそも声も顔も朧げにしか覚えていない。父親に関してはそれが顕著で、遺言もなにも襲った原生生物に喰われてしまって私の手元には何も残っていない。最後に交わした言葉も思い出せない。それくらい、突然だったんだよ。当たり前のことのように父親を見送ったんだと思う。だから、先代の花幻郷最強__ベルギアに伝えられるまで、私と母親は、今日は帰りが遅いねと少し心配していただけだったから。
元から花韮は魔力が人よりも多かった。
しかし、それが扱えるかとなったら話は別。
『剣のご加護』という固有能力を持っていると知ったのも、ベルギアと共に花幻郷最強になると決断してからだった。
(無力なんだよ。人は。)
花韮が心でつぶやいたその言葉は、自身の体に溶けて消えた。
二度とこんな思いをさせたくない。
だから花韮は花幻郷最強になることを決断した。
大切な人を、大切にしている人から奪わないために。
「…話を戻そう。そもそも、過去のことを思い返しても何にもならないからな。」
花韮がそう言うまで、誰も一言も話さなかった。
花韮は少し気まずくなり、咳払いをする。
「煙花散花の外から来た存在は、来たきっかけとなる歳で形は決まる。例えば、ここへ来たきっかけ…言い換えると死亡した時の年齢で成長は止まる。けれども、ここで生まれた存在は、己が満足する歳で成長が止まる。私の場合だと、二十六の時に成長が止まった。」
「だから花韮は若々しいのか」
「あぁ。」
「その話だと、ハーデンは二十八歳とかだったのかな?」
その言葉に、花韮は遠くを見たまま頷き、
「…おそらくな。」
と呟く。
しかし、むーといかりは誰の話だと首を傾げて目を見合わせる。
感情達がハーデンのことを知らないのは、当然と言えるだろう。
なぜなら__
ハーデン・ベルギアは、十年前に突如として姿を消したのだから。
話が一区切りついたタイミングを見て、花韮が話を戻しそう言う。
ちゃんはちは、花韮の横顔を眺める。
花韮は依然として前を向きどこかを見つめていた。
__花韮は、今……
「花韮って何歳なの?」
「お前は一度礼儀を改めるか。」
突然言われた言葉に、花韮は無表情のままちゃんはちに視線だけを向ける。
「いやだって一万年生きてんでしょ!?気になるわ!てか何で容姿が変わってないのさ!」
「十年前に話したばかりだぞ。忘れたのか?」
「いや覚えてるわけないでしょ」
ちゃんはちは目を細めて当然だと言うように呟く。
はぁ…と、花韮は大きなため息を吐きながら手を自身の顔に当てる。
列の後ろにいて会話を聞いていないやさややみでも、花韮がまたちゃんはちに呆れているとわかるくらいに。
「…お前は今日私に何度呆れられたらいいんだ。」
「いや!考えてよ!十年前だぞ十年前!!」
「人間には長期記憶能力があるから、強烈的な記憶なら覚えていてもおかしくないわね。まぁ、ちゃんはちが話した内容を覚えていないのなんて普通よ普通。」
「おい誰がポンコツだって?」
「誰も言ってねぇよ。てか自分で分かってんなら対策の一つや二つしろや!」
「いや最近忙しくてですね…。」
「最近異変解決も遠征もねぇだろうが!」
「落ち着け。こいつの記憶力に難ありなのは私がよく知っている。」
花韮の発言にちゃんはちはギャースカ騒ぐ。
そんな弟子を無視しながら、花韮は昔にちゃんはちへと言った発言を繰り返す。
「煙花散花には、二つの生物が存在する。一つは外から来た存在。もう一つはここで生まれた存在。外から来た存在は、元々生きていた世界で命を落としたものがこちらの世界に来た存在。ここで生まれた存在は、その名の通りこの世界で新しい命として生まれた存在だ。」
「外から来た存在はちゃんはちが該当するんだよな?じゃあ花韮はどうなんだよ」
「あぁ。私はもう一つの存在に該当するぞ。」
「へぇ〜」
「興味なさそうだな。」
「いや別にそうじゃねぇんだけど。てか花韮、両親とかどうしたんだ?ねぇちゃんとかいねぇのか?」
平凡な質問だ。
その平凡な質問への回答に、花韮は言葉が詰まる。
しかし、それでもう回答は終わったようなものだろう。
それでも花韮は質問に答える。
「父親は、私が幼い頃に原生生物に襲われて亡くなった。母親は、私がこの世界に生まれて百年もしないうちに居場所を見つけて旅立った。姉妹はいない。一人っ子だったよ。」
「…詳しい事情も知らずにすまん」
「気にするな。互いの事情なんて己にしかわからないものだからな。」
そんな言葉をかけても、いかりは俯いたまま小さく「うん」と言うだけだった。
その様子を見て、花韮は考える。
別に気にかける必要はない。もう一万年以上も前のことだ。そもそも声も顔も朧げにしか覚えていない。父親に関してはそれが顕著で、遺言もなにも襲った原生生物に喰われてしまって私の手元には何も残っていない。最後に交わした言葉も思い出せない。それくらい、突然だったんだよ。当たり前のことのように父親を見送ったんだと思う。だから、先代の花幻郷最強__ベルギアに伝えられるまで、私と母親は、今日は帰りが遅いねと少し心配していただけだったから。
元から花韮は魔力が人よりも多かった。
しかし、それが扱えるかとなったら話は別。
『剣のご加護』という固有能力を持っていると知ったのも、ベルギアと共に花幻郷最強になると決断してからだった。
(無力なんだよ。人は。)
花韮が心でつぶやいたその言葉は、自身の体に溶けて消えた。
二度とこんな思いをさせたくない。
だから花韮は花幻郷最強になることを決断した。
大切な人を、大切にしている人から奪わないために。
「…話を戻そう。そもそも、過去のことを思い返しても何にもならないからな。」
花韮がそう言うまで、誰も一言も話さなかった。
花韮は少し気まずくなり、咳払いをする。
「煙花散花の外から来た存在は、来たきっかけとなる歳で形は決まる。例えば、ここへ来たきっかけ…言い換えると死亡した時の年齢で成長は止まる。けれども、ここで生まれた存在は、己が満足する歳で成長が止まる。私の場合だと、二十六の時に成長が止まった。」
「だから花韮は若々しいのか」
「あぁ。」
「その話だと、ハーデンは二十八歳とかだったのかな?」
その言葉に、花韮は遠くを見たまま頷き、
「…おそらくな。」
と呟く。
しかし、むーといかりは誰の話だと首を傾げて目を見合わせる。
感情達がハーデンのことを知らないのは、当然と言えるだろう。
なぜなら__
ハーデン・ベルギアは、十年前に突如として姿を消したのだから。
