キスとアルコールが混ざった味は、甘くて苦くて、私の味覚を狂わせていった。
2月の風が頬を撫でて、部長に抱き留められた手の温もりに身を預けた。
数分後、涙の痕を消して居酒屋に戻れば、吉香と楢崎課長が恋愛話に花を咲かせていた。
十ニ村部長は気にもせず、私と同じタイミングで居酒屋に戻るから、私と部長の間に何か問題が生じたのは明らかだ。
それでも吉香と楢崎課長は、何事もなかったかのように私たちを話の輪に加えた。
「へえ〜! 東雲さんは同期と付き合ってるんだ〜。なんかそういうの憧れるよ。」
「楢崎さんほどのイケメンならいくらでもいるでしょう。」
「おい、『きっか』には彼氏がいるのか?」
「あなたに呼び捨てで呼ばれる筋合いはないんですけど?」
平然と話に加わる部長を見て諦めたのか、それ以降、吉香は部長に私とのことを何も言わなかった。
何が本当で何が嘘なのか。
部長は、志水さんや高坂さんと仲睦まじい姿を私に見せていたのは、私を煽るためだと言っていた。
私に女性事情のことを突きつけられて、部長が咄嗟についた嘘なのかもしれない。
この先、私は一体どこまで詩太さんに掻き乱されればいいの?
(いい加減、自分の気持ちに決着をつけないと。)



