「森田さんが見てる······」
わたしは小声で隣にいる慈に伝えた。
慈はわたしの言葉に苦笑いを浮かべると、「気にしない気にしない。それより、喪中の受け方教えてよ。」と言い、わたしは慈に喪中ハガキ印刷の承り方を教えた。
そして、9月下旬になり、本格的にやって来た忙しさの嵐。
わたしは通常業務の他にカレンダーの売場作りをやりつつ、喪中ハガキ印刷の承りもした。
10月に入ると、年賀ハガキ印刷の承りが始まり、売場と"年賀·喪中ハガキ印刷受付カウンター"の往復で走り回っていた。
そこに次は、ダイアリーの売場作りもやって来て、わたしは身体があと最低でも3体は欲しいと思う程に忙しかった。
帰宅をすれば体力はゼロで、まさにバタンキュー状態。
ソファーで少し横になり休むつもりが、いつの間にかそのまま眠ってしまい、目が覚めた時にはわたしの上には毛布がかかり、テーブルの上には慈が作ってくれた夕飯が置いてあるような日がほとんどになってきてしまっていた。
「あ、菫。起きてたの?」
わたしが寝起きでまだ寝惚けながら、テーブルの上にあるサランラップがかかった夕飯を見つめていると、お風呂から上がってきた慈がそう言った。
「ごめん······、わたしまた寝ちゃってた······」
最近、まともに家の事を何が出来ていない自分に落ち込みながらわたしがそう言うと、慈はわたしの隣に腰を掛け、「それだけ疲れてるんだから、仕方ないよ。」と言ってくれた。
「ご飯食べれる?」
「うん、食べる。」
「じゃあ、温めてくるね。」
そう言って、慈がわたしの夕飯を温め直しに行こうとした時、わたしは思わず慈に抱きついた。
「···ありがとう。」
わたしが慈に抱きつきながらそう言うと、慈はわたしを抱きしめ返し、優しく頭を撫でてくれた。
「さぁ、ご飯食べないと元気出ないよ?」
「うん。」
「焼きそばとか簡単なのでごめんな。」
「作ってもらえるだけで有難いよ。」
そんな会話をしながら、慈はわたしの額に一つキスを残してから、わたしの焼きそばを温め直しに行ってくれた。



