「おはようございます。」
わたしがそう声を掛けると、森田さんと平川さんは同時にこちらを向いた。
そして平川さんは少し焦りながら「あ、野花さん!おはよう!」と言ったが、森田さんは相変わらずの余裕な作り笑顔を浮かべ「あら、野花さん来てたんだぁ。おはよ〜。」とまるで台詞を棒読みするかのように言った。
「今ギフトが来たので、対応しておきました。」
「えっ!そうだったの?!ごめんね、ありがとう!」
機嫌取りをするようにそう言う平川さん。
しかし、森田さんはわたしの話になど興味がないといった様子で"今まで売場作業してました"とでも言うように、目の前にある棚の商品陳列を直し始めた。
「橋口さんが一人で大変そうだったので、レジの方も気に掛けていただけると助かります。」
「うん、ごめんね!わたしがレジの近くで作業するようにするから!」
そう言って、平川さんは慌ててレジの方へ駆けて行った。
森田さんはわたしの言葉が聞こえていないかのように反応せず、わたしに背を向けて、またどこかへ行ってしまった。
(森田さんは、一体何をしに来てるんだろう。仕事じゃなくて、男漁り?)
そんなことを考えながら、背を向け歩いて行く森田さんの背中を見つめ、わたしはわたしで自分の業務を開始する為にゲーム売場へ向かった。
(2日後に発売するゲームがあるから、準備しとかないと。)
わたしは新作ゲームの売場作りを始めると、ダミーパッケージの用意も済ませ、発売日当日にあとは陳列するだけの状態まで完了させた。
予約確認もして、予約販売用のソフトは避けておき、通常販売用のソフトとは別にして置いておく。
それから期間限定販売のカラーペンも納品されており、それをディスプレイを組み立てて陳列する。
すると、その時に文具売場を見回っていて、A4コピー用紙の在庫が売場に無い事に気付いた。
(あ、もう無くなってる。昨日、広告品でチラシに出てたから結構売れたんだなぁ。まだバックルームに在庫あったはずだから、持って来なきゃ。)
そう思い、わたしはバックルームへと向かった。



