何とかギフト対応も終わり、橋口さんもレジ対応が落ち着いた。
橋口さんは「出勤早々、ギフトをお願いしちゃってすみません!」と申し訳なさそうに謝ってきたが、わたしは「いえ、大丈夫ですよ。橋口さんこそ、一人で大変でしたね。」と苦笑いを浮かべた。
「ギフトが来た時は、めちゃくちゃ焦りましたぁ···。わたし、ギフト受けれないので。」
「それより、ホームファッションの人たちは?居ないんですか?」
わたしがそう訊くと、橋口さんは売場を見回しながら「森田(もりた)さんと平川(ひらかわ)さんが居るはずなんですけど······」と言った。
森田さんとは、ホームファッションのお局様的存在の48歳の独身女性だ。
勤続年数がホームファッションの中では一番長く、役職のつく上司たちに良い顔をしながらも、仕事は下の人たちに押し付けるお喋り好きの人。
平川さんは50歳の小柄なショートカットの主婦パートさん。
悪い人ではないのだが、ホームファッションで生きていく為に森田さんの機嫌を窺いながら、のらりくらりとホームファッション色に染まってきてしまっている人だ。
「わたしちょっとその辺、探して来ますね。」
わたしは橋口さんにそう一声掛け、売場を探し回ることにした。
すると、ダイニング売場の陰の方でお喋りをする森田さんと平川さんをすぐに見つけた。
「今日から新しい主任来るみたいよ〜。」
「黒木(くろき)主任、頼りなかったから居なくなってくれて良かったよね!」
「まだ若い小娘だったからね。それより、新しい主任!35歳のイケメン主任だって!」
「そうなの?イケメンって、どの程度のイケメンなんだろ。」
「前の店舗でもイケメン主任で有名だったみたいよ!結婚してるのかなぁ?」
「35歳でイケメンなら、既婚者の可能性高いんじゃない?」
仕事もせず、何を話しているのかと思えば、今日から着任予定の新しいホームファッション主任の話で盛り上がっている森田さんと平川さん。
特に森田さんは自分より年下の男性社員には、ベタベタとすり寄って行く癖があり、新しい主任に会える事が楽しみで仕方ない様子だった。



