陰日向に咲く儚花


***


「おはようございます。」

わたしが出勤すると、既に慌ただしく橋口さんがレジ打ちをしていた。

橋口さんのシフトは9時から14時までの固定で、わたしは大体11時から19時までのシフトで組まれている事が多かった。

「あっ!野花さん、おはようございます!」

橋口さんが対応するレジにはお客様が3組並んでおり、レジカウンターにあるもう1台のレジは『レジ休止中』のプレートが置かれ、稼働していなかった。

「野花さん、すいません!ギフトの対応お願い出来ますか?」

レジ打ちをしながらそう言う橋口さんは、レジ横に立って待っている様子のお客様を指した。

わたしは橋口さんのお願いに違和感を感じながらも「分かりました。」と言い、「お客様、大変お待たせ致しました!こちらでお受け致します!」と待っていたお客様の対応を始めた。

わたしが橋口さんからのお願いに違和感を感じた理由···――――
それは、ギフト対応の担当は、わたしたちステーショナリーではなく、別部署の"ホームファッション"だからだ。

しかし、辺りを見回してもホームファッションの人は見当たらず、仕方なくわたしが対応したのだ。

わたしたちステーショナリーとホームファッションは、部署は違えど同じレジカウンターを使用しており、レジ対応もステーショナリーとホームファッションで協力して行う事になっている。

それなのに現状、わたしが出勤して来るまでは橋口さん一人でレジ対応していたらしく、ホームファッションの人たちはどこか行ってしまったのか···――――

わたしが担当ではないギフト対応が出来るのは、このようにホームファッションの人たちが居ない時に対応できるようにする為に自分の業務の合間に練習したからだった。