それから一年の交際を得て、わたしたちは結婚した。
結婚を早めたのは、竜介がわたしよりも10歳年上という点が一番大きな理由の一つだった。
そして、ずっと正社員として働いてきたわたしだったが、竜介の希望により正社員からコミュニティ社員、つまりパートタイマーに雇用形態を変更した。
頑張って主任にまでなり、名残惜しい気持ちはあったが、今後竜介を支えていく為、もし子どもを授かった時の事も考えて、竜介の希望に沿う事を決断したのだった。
「二人で力を合わせていこうな。菫の事は、俺が絶対に幸せにする。」
そう誓ってくれたはずの竜介だったが、それが期待外れだという事に気付くのには、それほど時間はかからなかった。
わたしはパートになっても、フルタイムで働いていたが、業務内容はかなり過酷だった。
担当は、正社員の時のままハード担当として働いていたが、ハードは少し特殊で"ハード"の中でも"ステーショナリー"と"サイクル"と部門が分かれており、人員は"サイクル"が3名、"ステーショナリー"がわたし含めて2名しかいなかった。
その上、わたしともう一人の"ステーショナリー"のパートさんは、扶養範囲内で働く時短勤務の主婦パートさんの為、業務の量はどうしてもわたしに偏りがちだった。
それは仕方ないのだが、問題は"ステーショナリー"の担当部門が多過ぎる事だ。
文具、ゲーム、キャラクターくじ、スマホアクセサリー、大型家電、調理家電、季節家電、玩具が"ステーショナリー"の担当部門だ。
これだけの広範囲の売場の業務をわたしと時短勤務の主婦パートである橋口(はしぐち)さんの2名でこなしていかなければならない。
人員不足の為、人員補充を現在のハード主任である木浦(きうら)主任にお願いした事もあるのだが、木浦主任の一存で人員募集する事は難しく、木浦主任が住余課の甲斐課長に相談すると、「人件費の問題で難しい。」と断られてしまったようだった。
あまりにも酷い扱いに、わたしと橋口さんは毎日がいっぱいいっぱいで、橋口さんに関しては扶養範囲内での勤務の為、残業する事は出来ず、必然とわたしが残業をして業務を一つずつ片付けていくしかなかった。



