「挨拶と指示が終わってから、野花さんの手伝いに行って来るね〜って行こうとしたら、森田さんに食器類の陳列の手伝い頼まれちゃってさ。」
森田さんはホームファッションの中でダイニング売場を担当している為、食器類の陳列の手伝いを日向主任にお願いしたのだろう。
「でもよく見たら、陳列するのは段ボール1箱分だけでさ。そんなの二人がかりでやるような作業じゃないと思ったから、"これくらいも一人で出来ないんですか?"って言ったら、森田さん固まっちゃって!」
日向主任はそう言って、「あはは!」と笑うと「だから、その隙に逃げてきた!」とあっけらかんとした様子で言っていた。
そんな日向主任にわたしが「クスッ」と笑うと、日向主任は笑うわたしを見て「あ、野花さんが笑った!」と驚いていた。
「えっ。わたしも笑いますよ?」
「いや、普段のは愛想笑いでしょ?でも今のは、本当に笑ってくれたよね?」
そんな事を指摘されたのは初めてで、何だか恥ずかしくなる。
それに森田さんに「これくらいも一人で出来ないんですか?」なんて言う人は今までの主任には居なかった為、日向主任が初めてかもしれない。
日向主任は本当に面白い人だ。
「日向主任って、結構ストレートに言う方なんですね。」
わたしがそう言いながらノートを並べていると、日向主任は「思った事を口にしただけだよ。」と言い笑っていた。
「それで、俺は何をしたらいい?」
そう言ってYシャツの腕捲くりをする日向主任。
わたしは「じゃあ、その段ボールに入ってる5冊入りノートを一番下の棚に並べてもらっていいですか?」とお願いした。
日向主任は「これだね?了解。」と言い、すぐに作業の手伝いを始めてくれた。
日向主任は自分から手伝いを申し出てくれただけあり、手際が良く、仕事が出来る人だという事が見ていてよく分かった。
そして日向主任の手伝いのおかげもあり、学習ノート売場はあっという間に完成し、わたしは早めの休憩を挟んだ後半から、学用品の売場作りを開始する事にした。



