その後も一人黙々と作業を進めていったわたし。
しかし、日向主任は一時間を過ぎても戻って来る様子はなく、わたしはすぐに(森田さんに捕まってるんだろうなぁ。)と予測した。
それは想定内の事だった為、わたしは気にせず作業を進めていく。
すると、学習ノート売場が半分完成したあたりで日向主任が「お待たせ!」と走って来てくれた。
まさか本当に来てくれると思っていなかったわたしは、「あれ?日向主任来てくれたんですか?」と驚き、そう言ってしまった。
「えっ?手伝うって言ったじゃないですか!俺は言った事は必ず実行しますよ。」
「あ、すいません。信じてなかったわけではないんですけど、きっと来れないだろうなぁ、と思ってたので。」
わたしがそう言うと、日向主任は「もしかして、森田さんに捕まってたのバレてた?」と言って笑った。
(やっぱり、森田さんに捕まってたんだ。)
「いえ、見たわけではないんですけど、もしかしたらそうかなぁ···とは思ってました。」
「やっぱり森田さんって、そういう感じの人なんだね。」
日向主任の言葉に「そういう感じの人?」と訊くわたし。
すると日向主任は「森田さんって、お喋り好きだよね。」と言って苦笑いを浮かべていた。
「一度声掛けちゃうと、ずっと喋ってるんだよ。でも挨拶もしないわけにはいかないし···。それから、口は動かすけど手は全然動かさないんだよね。だから、仕事に集中出来ないのが売場を見ればよく分かるよ。」
まだ着任して二日目だというのに、森田さんの事を見抜いている日向主任には、感心してしまった。
森田さんは口が上手いので、上司たちは"ちきんと仕事をしている人"と思い込んでいるのだけれど、日向主任は他の上司たちとは違うようだ。



