陰日向に咲く儚花


「野花さん、明日のシフトは?」

すると、突然わたしのシフトを訊いてくる日向主任。

わたしは(何でシフト?)と疑問に感じながら「11時から19時まで、ですけど···」と答えた。

「俺、明日12時からだから、出勤したら手伝うよ!」

まさかの日向主任の口から飛び出してきた言葉に「えっ?!」と驚くわたし。

(ハード主任である木浦さんですらノータッチなのに、ホームファッションの日向主任が、ステーショナリーの仕事を手伝う?!)

「いえ!そんなわけには!」
「でも、本来なら一人でやるような仕事じゃないでしょ?!協力してやらないと終わらないような規模だよ?」

日向主任に正論を言われ、何も言い返せないわたしは、ふと何年も前の自分が主任の当時を思い出す。

確かにわたしがハード主任をしていた頃は、わたしが主体となってパートさんと協力しながら、売場作りをしていた。
今回の"新学期"の件だけではなく、基本的な売場作りからだ。

それを今はただのコミュニティ社員のわたしは、何でも一人でこなそうとしている。

勿論、橋口さんは居てくれるが、橋口さんの勤務時間の事を考えると、手伝ってもらうには橋口さんには負担が多くなり過ぎると思い、わたしは自分一人で何でも抱え込んでしまう癖がついていたのだ。

「でも、ホームファッション主任が、ステーショナリーの仕事を手伝うのは······」

そう、必ず誰かが不満を口にしてくる事が考えられた。

その"誰か"は、既に想定済みではあるが···――――

「さっきも言ったけど、ホームファッションとかステーショナリーとか関係ないよ。大変な時は助け合わないと!」

少し不安はあったものの、日向主任の気持ちが嬉しかった為、わたしは「じゃあ···、よろしくお願いします。」と手伝いをお願いする事にした。

日向主任は「了解!指示してくれれば、何でもやるから遠慮なく言ってよ!」と言うと親指を立て、わたしに頼もしい表情を見せてくれた。