陰日向に咲く儚花



「何ですって?!問題が無かった?!」

またもや突然家に押し掛けて来て、わたしに怒りをぶつける義母。

わたしは冷めた表情で「はい。病院の先生からは"問題無し"とお墨付きを頂きました。」と言って、光を失ったような感情の無い瞳で義母の事を見つめた。

「そんなわけないでしょ!結婚して、もう3年も経つのよ?!それなのに、一度だって妊娠した事がないのに、問題無いわけがないでしょ!!!」

そう言って、握り拳をテーブルに叩き付ける義母。

すると、その横では「まぁまぁ、母さん落ち着いて!」と間抜けに義母を宥めようとする夫の野花竜介(のばな りゅうすけ)が"優しい夫"の仮面を被りながら、義母の肩に手を置いていた。

「先生からは、"次はご主人と一緒にいらっしゃってください"と言われました。」

わたしがそう言うと、義母は更に血圧でも上がったかのようにコメカミの血管を浮かせながら「それは、どういう意味?!」と声を荒げた。

「それって、竜ちゃんにも検査を受けさせるって事?!」
「先生は、念の為に竜介さんにも検査を受けてもらった方がいいと、」
「何で竜ちゃんが検査を受ける必要があるのよ!竜ちゃんは何の問題も無いわ!問題は、あなたにあるのよ!菫(すみれ)さん!!!」

そう言って、義母はまるで"その指がわたしに突き刺さるのでは?"と思う程に力強くわたしを指差した。

(またこれだ。いつもこの繰り返し。問題無いなら、検査を受ける事自体も問題ないはずなのに。)

「3年も子どもを授かれないなんてね、女として終わってるわよ!!!それでも竜ちゃんは優しいから、あなたを見捨てたりしないけど、普通ならとっくに捨てられててもおかしくないのよ?!竜ちゃんにもっと感謝しなさい!!!」
「母さん、あまり菫を責めないでやってくれよ。なっ?お願いだよ。」

また始まったマザコン男の猫撫声にわたしは鳥肌が立つ。

すると義母は「竜ちゃんは優し過ぎるのよ。だから、わたしが厳しくしているの!」と言い、わたしはまるで茶番劇でも見ているような感覚で竜介と義母を見ていた。