片思いのはずだった

そんなある日のことだ。

「なあ聞いたか?樹、告白するんだってよ。」
「マジか。樹、女子苦手だろ。」
「あの子は例外だろ。惚れるのも無理ねーわ。」

廊下ですれ違った男子たちの声が聞こえた。

樹くんが…告白…。

惚れるのも、無理ない……?

じゃあ…樹くんは誰かの…『彼氏』になるの…?

樹くんみたいな人に告白されたら誰だって好きにならないわけがない。

誰にでも分け隔てなく優しくて、かっこよくて、運動神経もいい樹くんに告白されたら。
胸がチクチクする。
頭が痛い。

誰かの『彼氏』になる前に。

この思いを…伝えたい。

いや、伝えなきゃダメだ。


その後はよく覚えていない。

いつの間にか樹くんを放課後の教室に呼んでいた。

多分、断られる。
でもいい。それでいいんだ。

最後に思いを伝えられれば私は【初恋】を諦められる。
だから…気持ちだけでも受け取って…。