「こら、由。まだ蒼輝くんはGOODグループの何も知らないんだよ。君みたいに周りから特別な目で見られることだって慣れていないんだよ。これからゆっくり、慣れていけばいい。そこは、由が助けてあげなくちゃダメだよ」
諭すように生徒会長が言うと、七条由は意外にも素直にうなずいている。
「……特別な目って……俺のことそんな風に見る奴なんかいないだろ」
こそこそ、ひそひそ。何を言っているのか分からない、聞こえないくらいの声で話すあの感じが、俺はものすごく嫌いだ。全身が硬直して、恐怖まで感じる。
今朝だって、七条由が来なければ嫌な思いをしたまま学校内に入るところだった。まさか、これが毎日続くことになるのかと。
せっかく、俺のことを誰も知らない学校へ来たって言うのに、また俺は、みんなの笑い物にされて、影でこそこそ悪口を言われる存在になるのか? そんなの嫌だ。どうして俺ばっかり。
また、思い出したくなかった過去の記憶が頭の中に浮かんできて、気分が悪くなる。
「……蒼輝くん? 大丈夫?」
「俺は負けへんからな!」
優しく声をかけてくれた生徒会長を突き飛ばし、俺の前に七条由がしゃがみ込んで、うつむく俺を覗き込む。
「絶対に俺がこの学園のトップになる! 工藤蒼輝がかっこいいとか言うやつ、さっきは張り倒そうか思っとったけど、そこはグッと我慢した! だから、正々堂々と勝負や!」
意気込む七条由が、俺には意味のわからない言葉を投げかけてくる。
「……は? なに、どう言うこと?」
戸惑う俺に、生徒会長がゆっくり話し出す。
「君たち二人は、のちに池杉学園の生徒会長になる存在だ。森谷先生に選ばれたんだよ。だから、楽しんでこの学園をよくしていってね。おじいさんは本当に偉大な方だったらしいよ。僕も先生からの話でしか聞いたことがないけれど、実際にレジェンドと話せる蒼輝くんが羨ましいよ」
「俺にもレジェンド紹介せいっ!」
またしても、生徒会長の前に割いる七条由に、今度は生徒会長も黙っていない。
「それが人に頼む態度? 由くん」
「は? じゃ、じゃあ、紹介してくれや!」
「……うーん」
「しょ、紹介して……ください!」
「だって。お願いね、蒼輝くん」
いや、二人のコントみたいな言い合い見せられたあげくに、意味のわかんねぇお願いされても、訳わからんだろ。じいちゃんの名前だって、俺はたった今知ったよ。
なんだよ白馬庵治って。確かに、俺がもっと小さかった頃は「おおじい」って呼んでいたような気もするけど、それが名前だったなんて知らねぇし、大きい爺さんだってしか思わなかったよ。ってか、じいちゃんが誰よりも「名は体で表す」を提言してたのかよ。もう笑えねぇし。
そもそもGOODグループってなに?
全部一から教えて欲しい。
「混乱するのも無理ないね。今日はGOODグループの活動の説明が森谷先生からあるから、放課後を楽しみにしていてね」
生徒会長がかわいらしくウインクしてくるから、思わずドキッとしてしまう。
いや、ドキッてなに?
もう考えるのも面倒になって、俺は七条由と教室に戻ることにした。
途中、廊下ですれ違う生徒たちから、七条由はお辞儀をされたり手を振られたり。時にはキャーキャー騒がれたりするから、まるで本物のアイドルみたいにも思えてきた。
しかも、その度にさっきまでの黒七条由はどこへ行ってしまったのか。柔らかくほほえみ、全てのアプローチに対して丁寧に返している。まるで別人だ、と思ったさっきの感覚は、間違いなんかじゃなかった。
諭すように生徒会長が言うと、七条由は意外にも素直にうなずいている。
「……特別な目って……俺のことそんな風に見る奴なんかいないだろ」
こそこそ、ひそひそ。何を言っているのか分からない、聞こえないくらいの声で話すあの感じが、俺はものすごく嫌いだ。全身が硬直して、恐怖まで感じる。
今朝だって、七条由が来なければ嫌な思いをしたまま学校内に入るところだった。まさか、これが毎日続くことになるのかと。
せっかく、俺のことを誰も知らない学校へ来たって言うのに、また俺は、みんなの笑い物にされて、影でこそこそ悪口を言われる存在になるのか? そんなの嫌だ。どうして俺ばっかり。
また、思い出したくなかった過去の記憶が頭の中に浮かんできて、気分が悪くなる。
「……蒼輝くん? 大丈夫?」
「俺は負けへんからな!」
優しく声をかけてくれた生徒会長を突き飛ばし、俺の前に七条由がしゃがみ込んで、うつむく俺を覗き込む。
「絶対に俺がこの学園のトップになる! 工藤蒼輝がかっこいいとか言うやつ、さっきは張り倒そうか思っとったけど、そこはグッと我慢した! だから、正々堂々と勝負や!」
意気込む七条由が、俺には意味のわからない言葉を投げかけてくる。
「……は? なに、どう言うこと?」
戸惑う俺に、生徒会長がゆっくり話し出す。
「君たち二人は、のちに池杉学園の生徒会長になる存在だ。森谷先生に選ばれたんだよ。だから、楽しんでこの学園をよくしていってね。おじいさんは本当に偉大な方だったらしいよ。僕も先生からの話でしか聞いたことがないけれど、実際にレジェンドと話せる蒼輝くんが羨ましいよ」
「俺にもレジェンド紹介せいっ!」
またしても、生徒会長の前に割いる七条由に、今度は生徒会長も黙っていない。
「それが人に頼む態度? 由くん」
「は? じゃ、じゃあ、紹介してくれや!」
「……うーん」
「しょ、紹介して……ください!」
「だって。お願いね、蒼輝くん」
いや、二人のコントみたいな言い合い見せられたあげくに、意味のわかんねぇお願いされても、訳わからんだろ。じいちゃんの名前だって、俺はたった今知ったよ。
なんだよ白馬庵治って。確かに、俺がもっと小さかった頃は「おおじい」って呼んでいたような気もするけど、それが名前だったなんて知らねぇし、大きい爺さんだってしか思わなかったよ。ってか、じいちゃんが誰よりも「名は体で表す」を提言してたのかよ。もう笑えねぇし。
そもそもGOODグループってなに?
全部一から教えて欲しい。
「混乱するのも無理ないね。今日はGOODグループの活動の説明が森谷先生からあるから、放課後を楽しみにしていてね」
生徒会長がかわいらしくウインクしてくるから、思わずドキッとしてしまう。
いや、ドキッてなに?
もう考えるのも面倒になって、俺は七条由と教室に戻ることにした。
途中、廊下ですれ違う生徒たちから、七条由はお辞儀をされたり手を振られたり。時にはキャーキャー騒がれたりするから、まるで本物のアイドルみたいにも思えてきた。
しかも、その度にさっきまでの黒七条由はどこへ行ってしまったのか。柔らかくほほえみ、全てのアプローチに対して丁寧に返している。まるで別人だ、と思ったさっきの感覚は、間違いなんかじゃなかった。



