目の前でウインクをしてキメ顔を作るじいちゃんに、思わず味噌汁をこぼしそうになってしまう。
「あの頃この辺りでは俺ほどの色男はいなかったんじゃよ。一番だったな。懐かしい」
思い返しているのか、じいちゃんは目をつむりうなずいている。
「参考書小脇に抱えてねぇ。頭もいいし運動も出来るし、顔も俳優さん並みに良かったし、ほんと、歴史を作ったわよねぇ」
ばあちゃんもすぐ話にのってくる。
今ではしわしわの手に顔。頭はツルツルのスキンヘッドだし、どこにもイケメンな要素がない普通のじいさんだ。そんな話は信じられるわけがない。
まぁ、でも、楽しそうに話す思い出の尽きない二人には「そうなんだ」と相づちを打っておいた。
次の日、学校に近づくにつれて、周りの生徒の視線がやけにこちらを見ているような気がしてならない。こそこそと何かを言っている。その言葉の中に、俺の名前が混じっているようで感じが悪い。自意識過剰なわけじゃないけれど、絶対にみんなが俺を見ている気がして、すごく居心地が悪くなる。
またしても、嫌な思い出がよみがえってきそうになったところで、右肩をポンッと叩かれた。
「おはよう、工藤くん」
「……え」
振り向けば、そこにいるのは七条由。
そして、よく見れば周りを歩く生徒たちみんなが注目しているのは、七条由だと分かった。
それにしても、何この人。誰?
太陽の光をまとったようにきらめいて、ミントのような爽やかな雰囲気を放っている。
「今日も清々しい朝だね。教室に行く前に一緒に生徒会室へ寄って行こうか」
言葉が出てこない。
顔も姿も、昨日初めて会った七条由なはずなのに、言葉遣いも態度も正反対だ。まるで王子様みたいに上品で品格があって、ほんと、誰?
「え、おはよう。七条くん、だよね?」
俺の疑うような質問に、何を言っているんだと言うように爽やかに笑う七条由。
「さあ、始業のチャイムがなる前には教室へ行かねばならないから、急ごう。工藤くん」
「え、あ、おう」
スタスタと長い足を前に進めるから、俺はあわてて後ろをついていく。
「きゃー、今日もステキ」
「かっこいい! 由くーんっ」
後ろから、女子の高い声が飛んでくる。投げかけられる言葉一つ一つに何度も振り返り、まばゆいほどの笑顔で手を振り返している。七条由からキラキラのオーラが放たれているように見えて、まぶしい。
え、まじで誰? この人。
わけがわからないまま、俺は流れるように七条由の後ろを着いていくしかない。
「あの頃この辺りでは俺ほどの色男はいなかったんじゃよ。一番だったな。懐かしい」
思い返しているのか、じいちゃんは目をつむりうなずいている。
「参考書小脇に抱えてねぇ。頭もいいし運動も出来るし、顔も俳優さん並みに良かったし、ほんと、歴史を作ったわよねぇ」
ばあちゃんもすぐ話にのってくる。
今ではしわしわの手に顔。頭はツルツルのスキンヘッドだし、どこにもイケメンな要素がない普通のじいさんだ。そんな話は信じられるわけがない。
まぁ、でも、楽しそうに話す思い出の尽きない二人には「そうなんだ」と相づちを打っておいた。
次の日、学校に近づくにつれて、周りの生徒の視線がやけにこちらを見ているような気がしてならない。こそこそと何かを言っている。その言葉の中に、俺の名前が混じっているようで感じが悪い。自意識過剰なわけじゃないけれど、絶対にみんなが俺を見ている気がして、すごく居心地が悪くなる。
またしても、嫌な思い出がよみがえってきそうになったところで、右肩をポンッと叩かれた。
「おはよう、工藤くん」
「……え」
振り向けば、そこにいるのは七条由。
そして、よく見れば周りを歩く生徒たちみんなが注目しているのは、七条由だと分かった。
それにしても、何この人。誰?
太陽の光をまとったようにきらめいて、ミントのような爽やかな雰囲気を放っている。
「今日も清々しい朝だね。教室に行く前に一緒に生徒会室へ寄って行こうか」
言葉が出てこない。
顔も姿も、昨日初めて会った七条由なはずなのに、言葉遣いも態度も正反対だ。まるで王子様みたいに上品で品格があって、ほんと、誰?
「え、おはよう。七条くん、だよね?」
俺の疑うような質問に、何を言っているんだと言うように爽やかに笑う七条由。
「さあ、始業のチャイムがなる前には教室へ行かねばならないから、急ごう。工藤くん」
「え、あ、おう」
スタスタと長い足を前に進めるから、俺はあわてて後ろをついていく。
「きゃー、今日もステキ」
「かっこいい! 由くーんっ」
後ろから、女子の高い声が飛んでくる。投げかけられる言葉一つ一つに何度も振り返り、まばゆいほどの笑顔で手を振り返している。七条由からキラキラのオーラが放たれているように見えて、まぶしい。
え、まじで誰? この人。
わけがわからないまま、俺は流れるように七条由の後ろを着いていくしかない。



